オヤジの体験談その（3）
ファイルが消えたので記憶を頼りにかき進めていきます。*平成26年11月15日・記
狐に化かされた話。
遠い昔の不思議な事ですから記憶を呼び戻すには時間がかかると思います。
お話しの構成、順序、文法は無視して思い出したことを取りあえず書き連ねてまいります。
私が18～19歳の頃の話です、当時岐阜県瑞浪市の寿司店で働いていました。
田舎町であるゆえ、それはのんびりとした店でした、今考えると暇な店で日中お客様がみえない時は横の川（土岐川）で魚釣りをしていました、お寿司の注文が入ると女将さんが呼びに来るのです,竿を置いたままお客様の相手して、お帰りになられ川に戻ると魚がかかっている、なんて事がありました。
このような話をすべて書くにはページ数が足りないような気がします、書いているうち様々なことが思い出され、もっと書きたい衝動に駆られますがグッとこらえて。
タイトルは「狐に化かされた話」ですので本題に入ります。
私は車の普通免許を取得したてで運転をしたいばかりでした、運転がしたくてしょうがない、ある日のこと出前の注文が入りました、その配達先は瑞浪光源ゴルフ場の支配人宅まです、その仕事を買ってでました。
当時はのんびりしたもので僅かな注文でも、かなり遠方までも配達しておりました、田舎町のことそれは採算度外視、そのような事は当たり前のようにありました。
私の働いていた寿司店は、仕出し屋も兼ねていて、というより寿司屋を兼ねているような店で、仕出しの利益で親方、私と若い衆、計3人です、それにしても人件費は大変だったと思います。親方と他は新規開店ということで皆名古屋から来ました。
経営者の親父さん、女将さん、長男、次男とで営業していました。瑞浪駅から少し下り、街の中心街を突き当たり右に回り、土岐川に架かる竜門橋を渡った所にあるそのビルは4階建てで市内では一番大きな建物でした、店名は《寿司光》です。
親父さんが満州から引き上げてきて一代で築きあげたのです、この話は耳にタコが出来るくらいに聞かされました。
親父さんは尺八を奏で、猟銃を所持していて休日には狩猟よくついていきました。一度だけ空に向かって散弾銃を撃たせてくれました、また毛筆の達人でその他キノコ狩りの名人変わったきのこを取りに行きたべました、その感触は今でも忘れません。また鳥家《トヤ》（朝早く薄暗いうちに山中に出かけ、小屋の中で身を隠し、かすみ網で小鳥をとらえ皆で食すのです、本当に多趣味の人でした、今思えばかなりバイタリティーに溢れたお人でした。
その御蔭で、かなりのことを経験しました、ここにいた2年間は私の人生で、事あるごとに話題にできる、貴重な体験をしたのです、この話は、まだまだありますが、この辺りでお終いにします。
話が横道にそれました。元に戻します、その出前先は国道19号線を暫く走り、右折して踏切を渡り、ゴルフ場への道へと向かいます、急勾配で細く曲がりくねった道を進んで、当時有ったスケートリンクを左に見て100メートル程進んだ所を右折、真っすぐ行けば瑞浪高原ゴルフ場です。
未舗装の小道を車幅いっぱい、脱輪に注意して（車はマツダファミリア）支配人宅に到着ここまで所要時間40分、この道は昼間何度も通っていて、慣れたものです、ゴルフ場のオープン時はコースの途中に店を出したり、その時パターで遊んだり風呂に入ったりして良い思い出です、冬季はスケートリンクでも弁当を売っていた、屋外スケートリンクなのでかなりの寒さでした、そこでソリに助六寿司を載せて
同僚と（女房の兄）売店まで運ぶのです。
そしてそのまま売り子になり、何時間も寒風の中で平気でおれました。若いということは凄いですね、半袖の白衣を直接身にまとい平気でした。周りの人の驚きの声が聞こえます。また話がそれる。
出前の話に戻します。その日は6時過ぎに出発して、着いたのが7時近かった。
当りはもう漆黒の闇です、街灯もない、試しにヘッドライトを消してみると何も見えません。
相当使い込んだマツダファミリアはいつ故障してもおかしくはありません、現在のように公衆電話、携帯何もありませんから何事があっても何処にも連絡は出来ない、若いから不思議なことに、そう怖くはなく帰路につきました。
来た道を戻ればよいのですから、ところが、どこまで行っても目印のスケートリンクが見つからないのです。
一本道だから間違えるはずがないのです、とにかくその道を進めば良いと、ひた走りました、少し不安を感じながら行くと、支配人の家の前にでたのです、不安が大きくなってきた、しかし道はそれしか無い！。
もう一度同じ道をたどることにした、、やはりまた支配人宅？？もう一度、つご３回繰り返す、冷静にならなければと思い、車から降りて深呼吸をする考える。
間違えるはずのない一本道だから。出前先の支配人宅の前は一面が田んぼ畑だ稲刈りの済んだそこは遠くまで車のヘッドライトに照らしだされていた、何も遮るものはない。その時ライトの１００メートル程先に何か動物が右から左に横切った。
犬か？と思ったがよく見ると走り方が違う、２メートル位飛び跳ねて進む、そして尾が長く太いどう見ても狐だ、私は狐に化かされて道を堂々巡りしているようだ。
思い出したのは、小学生の時に読んだ「弥次喜多道中」だ弥次さん喜多さんが道中で綺麗な娘さんに呼び止められて、「お泊まり下さいまずはお風呂をどうぞ」と勧められ二人共気分よくお風呂に入る、、気が付くとお風呂だと思ったのは肥溜め、そんな話を思い出す。
狐は人に悪さをする、騙す。私も今騙されているのだと確信して、おまじないに眉毛に唾を付けた、おまじないはどうして覚えていたかは分からない、「眉唾ものとはここからきたのか」そしてまた同じ道に向かうと、今度は無事スケートリンクが見つかり帰路につくことが出来た、おまじないがきいたのか。
後日、明るい時にその道を通ると一箇所道が二股になっていることに気が付き納得した、単なる道を間違えただけのことでしたとさ。
しかし狐らしき動物を見たのは事実だ。
その数十年後、私はゴルフを始めていてこの瑞浪高原ゴルフ場には何度も訪れ、その都度同伴者にこの話をするのです、反応はまちまちでした。
作り話ではありません、皆さんも不思議体験はあると思います
長文にお付き合い下さりありがとうございました。
当時の私、18歳位（右端）中央は亡き親方（板さん）
左は牟田さん
この頃はモノトーンが主流でした。